あなたが株式会社や有限会社などの法人を設立しないで、事業を始める場合は、税法上は「個人事業主」という分類になります。お店を無事オープンすると、所定の管轄機関に決められた申請書類を提出しなければなりません。必要な提出書類は、以下のようになります。
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■ 個人事業の開廃業等届出書
個人事業を始めたことを納税地の税務署に知らせるために行う手続きで、
開業した日から1ヶ月以内に納税地の税務署に届け出義務があります。
店舗を変更するとき、休業、廃業(やめる)ときにも同じ書類を使って届け出をします。
■ 個人事業開始等申告書
店舗や事務所のある地区の都道府県税事務所に提出します。
開業に関する書類のなかで、この書類だけ提出先が異なるので注意してください。
■ 青色申告承認申請書
その年の1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日までに、それ以降に開業した場合は、事業を開始した日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。
開業時から青色申告にしたければ、開業と同時に青色申告の要件にかなった方式で帳簿の記入をはじめ、提出期限内に申請書を納税地の税務署に提出します。
*青色申告方式の帳簿は税務署で有料販売していますよ。
■ 青色事業専従者給与に関する届出書
青色申告者が事業に従事する家族に支払う給与を必要経費として認めてもらうための書類です。
納税地の税務署で書類をもらい、同じものを2部作成し、受付印をもらったうえで1部を「控え」とします。申告期限はその年の1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日まで、それ以降に開業した場合は、事業を開始した日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。
■ 給与支払事務所等の開設届出書
家族または、使用人に給与を支払っている場合に提出します。
開業時だけでなく、移転・廃業の場合にも同じく届け出が必要です。
■ 源泉徴収税の納期の特別の承認に関する申請書
毎月源泉徴収した所得税は翌月10日までの納付が原則ですが、給与の支払人員が9人以下の事業所の場合は、これを提出すれば、7月10日と1月10の年2回まとめて納付することもできます。
これは申請した日の翌月末から承認されます。
■ 所得税のたな卸資産の評価方法および減価償却資産の諸客方法の届出書
たな卸資産(決算時の在庫商品)の評価方法と減価償却資産(車両・機械など毎年徐々に価値が減少するものとして計算する資産)の償却方法を選んで納税地の税務署に届け出るものです。
その年の確定申告時までに、よく考えて有利な方法を選びます。
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労働保険は、お店をオープンしただけでは加入の必要はありませんが、ひとりでも従業員を雇用した場合は、採用日から10日以内に手続きをしなければなりません。
■ 労災保険
正式名称は労働者災害補償保険で、従業員が勤務時間中や通勤途中などに災害にあった時に給付されます。保険料は全額を事業主(あなた)が全額負担するコトになり、労働基準監督署で加入手続きします。
■ 雇用保険
従業員が失業した時に、一定期間の所得を補償する目的で支給されます。保険料は事業主(あなた)と従業員が折半で負担します。こちらの加入手続きは、公共職業安定所(ハローワーク)でおこないます。
保 険 名 |
加 入 条 件 |
対 象 者 |
所 轄 |
労災保険 |
人を雇ったら加入する |
すべての労働者 |
労働基準監督署 |
雇用保険 |
正社員、加入条件を満たすパート等 |
ハローワーク |
パートやアルバイト雇用であっても次の条件を満たす場合は雇用保険への加入が必要です。
(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上の場合
(2) 1年以上継続して雇用することが見込まれる場合
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会社を設立した場合には、必ず加入手続きをしなければなりませんが、個人事業の形態であっても、5人以上の従業員を雇用した場合には加入手続きが必要になります。
しかし一般的には、5人も雇用するような事業規模になれば、ほとんどは節税のためにも会社組織に変更しますから実際には、個人事業での加入の可能性はナイと考えてもらってもかまいません。
保 険 名 |
加 入 条 件 |
対 象 者 |
所 轄 |
健康保険
厚生年金 |
強制適用事業所または
任意包括適用事業所 |
正社員、加入条件を
満たすパート従業員 |
社会保険事務所 |
▼ 強制適用事業所(加入が義務づけられている事業所)
(1)従業員を常時5人以上雇っている事業所
(2)国または法人の事業所
▼ 任意包括適用事業所(従業員の半数以上が希望すれば加入できる事業所)
(1)従業員が5人未満の事業所
(2)サービス業(旅館業、理美容、飲食店など・・)
(3)自由業(弁護士、公認会計士など・・)
なお、社会保険の被保険者になれるパート、アルバイトは、正社員の勤務日数・勤務時間の4分の3以上勤務している人ですが、2ヵ月以内の契約、4ヵ月以内の季節労働業務、6ヵ月以内の臨時的事業に携わる人、その他日雇いの人は対象外となります。
以上これらの申請書類には、お店をオープンすればもちろん提出義務がありますがそんなに堅苦しく考えることもありません。わたしも、開業してからすぐにこんな小難しい書類は提出していません。
最初の確定申告にいった時にはじめて、税務署の担当官に教えられて、そんな書類を提出しなければならないことを知りました。だから、あなたも提出を忘れても心配はいりません。別に罰則もありませんから・・・
もちろん、これらの届け出を全部きちんと行うにこしたことはありませんが、一応、個人でお店を始める場合にも、こんな申請が必要なんだという事だけは、あなたの頭の片隅に憶えておいてくれれば結構です。
ただし従業員を雇用した場合には、その人の保険関係などの手続きだけはできるだけ速やかに行ってあげて下さい。
ひと昔前までは、こうした公的機関も役人根性まるだしの無愛想な輩がいっぱいいましたが、最近は、どこも民間を見習って接客態度が改善されてきていますから、提出書類の種類や書き方、提出方法等に関して不明な点は、各税務署、保険事務所、ハローワークの窓口で質問すればやさしく教えてくれますから心配はいりません。
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