この項では 「本当にその場所(立地)は、あなたの雑貨店が成り立っていくために必要な売り上げがあがる場所なのか?」
という、もう一歩踏み込んだプロのコンサルタントなどがおこなう立地選定方法を紹介してみます。
不動産屋からの紹介やあなた自身が自ら探してきた物件たちを最終的に絞り込む作業においてよりすぐれた好物件を選ぶ方法として参考にしてみて下さい!
この場合の候補エリア物件の選定ポイントとしては、同じエリア内でできるだけ多くの物件を比較することで、その作業によって好物件かどうかが見えてきます。
そもそも立地とは、「"空間"をトータルにとらえる概念」であり基本的に"お客さんの視点"でその空間をとらえることにあります。
空間という広がりをとらえる場合、その構成要素は「点・線・面」の3つの次元に分けられます。この3つの次元(要素)は、どれが欠けても立地の実態を正しくとらえることはできないので、それぞれをバラバラの次元で評価するのではなく、トータルとして考えてゆかなければなりません。
"お客さんの視点"で立地を評価するということは言い換えれば、この「点・線・面」のトータルな視点で立地を見ていくことに他なりません。
あなたの雑貨店にとって良い立地とは?
ということになります。
それでは、この「点・線・面」の3つの要素をどの順番で見ていけばよいのでしょうか?
立地評価の基本は「マクロから入りミクロへ・・・」ですから、まずは面(商圏・エリアの評価)をおさえ、線(動線の評価)に入り点(地点評価)に到達する流れになります。
良さそうな物件が見つかったからといって安易に決断してはいけません。
重要な点は、あなたのお店にお金を落としてくれるのは物件ではなくお客さんなのです。
そのためにもまずは、あなたが出店を考えている町、地域の地図をもとにそのエリア内のTG(トラフィック・ジェネレーター)の位置を把握してみましょう。
TG=トラフィック・ジェネレーターとは交通発生源のことで、駅や大型交差点、ショッピングセンター、レジャー施設、学校、大病院、などの多数の人々が集まるところを指します。
地図上にそのエリアの主な T G を記入しその場所から人々がどのような道を歩いているかという動線を予測記入してみます。
T G からの動線が予測できたなら次は、実際にあなたの足で歩いて立地調査をおこないます。
この場合も、地図、メモ、デジカメが必要です。あなたが予想していなかった T G や人の流れが存在するかもしれませんから、歩いているうちに新しい発見があったなら、その場その場で記録します。
大型マンションや社宅、学生寮などがあればその建物の部屋数のチェックと住居者の分類、家族向けか?独身向けか?
また、現在建設中の集合住宅のチェックも忘れずにメモします。
次は、調査日時を決めて、通行量のカウンター・チェックをおこないます。平日(月〜金)と休日(土・日・祭日)の最低でも各1日(時間があるならもっと・・)9時から20時くらいの間を朝、昼、夕方と何回かに区切って各15分、これから作るあなたの雑貨店の対象となるであろう年代、性別の人通りを調べます。
できれば4桁手動式カウンターを左右に1ヶずつ持ち、全体の通行人数と対象客層の通行人数をカウントすれば、全体に対する割合がわかります。
いくらたくさんの人が通行していても、あなたの雑貨店のターゲットになるであろう層が少なくては意味がありません。
その逆に全体の人通りは少なくても対象層の割合が高ければ充分魅力的かもしれませんので、条件次第で好物件といえるかもしれません。
一般的に「女性が多い商圏は質が良い」といわれます。 男性対女性の比率は通常6対4なので、通行人の男女数もあなた自身の目で確認してみます。
チェーン店ではなく、個人経営の喫茶店とかがあれば、コーヒーでも飲みながらマスターから情報を仕入れることもひとつの手段ではあります。
その場所で古くからお店を経営しているのであれば、当然通りの人の流れや立地に関しても生きたデーターを持っているはずですから、充分参考材料となります。
また重要な T G である駅周辺は、うら口側も念入りに調査してみることも必要です。 一般的には駅うらのほうが家賃も安いはずですから、動線さえ確保できればねらい目ともいえます。
複数の出入り口がある地下鉄の場合は、わずかな距離で人の流れが大きく変わる傾向がありますから要注意が必要です。
一般的な雑貨店にとっては、対象客層が集中している女子大などは、重要な T G のひとつですが、夏と春などの長期休暇中は人がいなくなるので、その点も忘れずに考慮しておく必要があります。
次に候補物件の外的要因を調査します。
その場所にあなたがお店を開いた場合、普通に通りを歩いていてお店(建造物)が自然と視界に入ってくるかという点も重要な選別要素のひとつとなります。
いくら人通りが多くてもお店自体が目にとまらないような物件であるならば致命傷になりかねません。
道を歩いている人が普通にお店の存在に気付いてくれるようなロケーションが確保されていなければなりません。
その点からも交差点付近の物件の場合は、いろいろな方向、角度から確認してみましょう。
以上のデーター類をふまえた上で、複数の候補物件の中から客観的に最終決定をくだすことになります。
最後に、雑貨業界の勝ち組「無印良品」の出店選定方法をご紹介します。
無印良品のように多店舗展開しているチェーン店でも、”どこにお店を出すか?”は経営の成否を決めるポイントとなります。
約20項目のチェックポイントをもとに点数をつけ、出店候補地の選別をしています。
集めたデーターをもとにこれらの項目に点数をつけ、
と評価して、C以上の候補地について検討をします。
無印良品ではこの「出店の可否判断」の方法までも完璧にマニュアル化して、開発担当者の印象や勘で判断するのを防ぎ、誰でも等しく評価できるようにしています。
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