それではここからは、いよいよ各候補物件の中から最終の絞り込みをおこないます。
あなたがメモしたチェック・ポイントに以下の項目をあてはめてみて下さい。
・単独店舗の場合は、一般的な小さなお店に来てくれるお客さんのほとんどは徒歩だと考えられますから、一応その地区の主要駅からの徒歩での所要時間も考慮しなければなりません。
また、地方の小都市などは主要交通手段は自家用車になりますから、徒歩のお客さんは少なくなります。
・たとえば、築10年の物件と紹介されたとしても、実際の建物を見てみると予想以上にキレイだったり、その逆に外壁などがボロボロでかなり古ぼけた状態の物件もあり、それまでの管理状況などによってまったく違ってくるケースも多いです。
・ちょっと変な表現になってしまいましたが「その物件が1階であるか?」ということで地下ならばやめておきましょう。
はじめてのお店にとってはリスクが高すぎます。 少々人通りが多くても、外から店内が見えない店にはなかなかお客さんはやっては来てくれません。2階の場合は、エントランスとなる階段の形状や広さ、店舗状態(ガラス張りで通りからよく見える等)など総合的に考慮しましょう。
・地方都市のアーケード(屋根)のある、いわゆる「商店街」と呼ばれる所では、左右前面のお店の持つ雰囲気に大きく影響されますから、雑貨店のイメージに悪影響をおよぼす周辺環境ではないか?をよく考慮しなければなりません。
またこのような場所に出店すれば、半強制的に「商店会」に入会させられ毎月一定の商店会費(数千円ほど)を徴収されます。
もちろん、商店会主催のイベント等には基本的に無給奉仕させられます。だからダメ!というわけではありませんので誤解なく。
・単に人通りが多いというだけではダメです。 どういう人がその道を利用しているのかが判断の重要な要因になります。
通学や通勤に利用する人がいくら多くても、それでは雑貨店には適していません。
こんな場所では、休日になるとパッタりと人がいなくなる危険があります。 また、その地域の主要幹線道やいわゆる抜け道などは車の通行量が多く徒歩のお客さんにとっては敬遠される傾向があります。
・わたしの経験では、地方都市の場合はお店の前に5分くらいは車を止めておいてもだいじょうぶな交通量の道で、車3台分ほどの道幅が理想です。
もちろん、交差点の近く(角地)は避けたほうがベターです。 また、中央分離帯があるような広い道路は、両端で人と車の流れが分離されますからおすすめできません。
逆に、都市部ではアパートなどの集合住宅が密集する車の通らない狭い路地のほうが小さな雑貨店には適している場合もあり、地域性や人口密度などによって判断材料もかわりますからあなたの地域の状況にあわせて検討してください。
この立地条件のポイントをさまざまな観点からよく吟味、検討したうえで見事?に残った物件が最終候補となります。
あなたの手元にはこの時点でいくつの物件が残りましたか?あまりたくさん残ってもダメです。
理想は5ヶ所以内でそれ以上ならば、もう一度シビアに再検討してみましょう。
次はこの最終物件の中身の拝見です。 取り扱い不動産屋に物件内を見せてもらいます。
たぶんこの時あなたは何にもないガラ〜ンとした空き店舗を見て「とても狭く見えるけど、こんな広さで商売ができるのか?」と不安に思われるかもしれませんが、5坪前後の空間ならば10人中9人までがそう感じるはずです。
しかし心配はいりません。什器をならべて商品を陳列すれば立派な雑貨店に変化しますからその点は安心してください。
空き店舗内を細めに観察してチェック・ポイントを以前もらった平面図に書き込み、不動産屋の許可があればデジカメでさまざまな角度から撮影しておきましょう。
空き店舗内のチェック・ポイントは
これらのチェック・ポイントは、あなたがこの物件で雑貨店を開く場合、どれくらいの内装・改装が必要か?の判断基準にもなりますから重要です。
これで「あなたの店舗探し」の作業は一応終わりです。
ここからはいよいよすべての情報をもとに出店場所の最終決定となります。
最終候補の物件を各チェック・ポイントごとにじっくりと検討していきます。
「A の物件は、家賃が安いが内装をすべてやり変えないといけない」
「B の物件は、家賃は高いが立地が良くて建物がキレイでオシャレ」
というように、それぞれに良い点もあれば不満な点もあると思います。
簡単に決めることができれば良いですが、迷い出したらキリがありません。
仮に各項目を5段階評価にして、それぞれの候補物件を採点して合計得点の一番高い物件に決定するような方法もありますが、こんなのはハッキリいってあまり意味がありません。
わたしがここで、さらに細かいチェック・ポイントをあげたとしてもそれはもう物件を選別するという次元ではなく、単なる評価でしかありません。
実際にそれらの物件を見ているわけでもなく、周囲の環境もわからない状況ではこれ以上の適切なアドバイスはできません。
繰り返しになりますが、店舗選びにはすべてのパターンに共通する「正解!」はありません。ここまで解説した「物件のチェック・ポイント」も、よりリスクを回避するための考え方のひとつでしかないのです。
地域性や商習慣の違いによっては、これらのアドバイスもあまり役に立たない場合もあるかもしれませんし、逆にここまでアドバイスした細かいことをいちいち考えずに勢いだけで決めて出店したとしても、ウマく行くかもしれません。
コンビニや外食産業などは、いろいろな地域に出店しているので今までの経験上、道路の平均交通量や半径○Km以内の商圏人口などの事前調査から、あらかじめある程度正確な毎月の売り上げ額を計算することができます。
出店場所の選択も、このような「本部マニュアル」に従えば、どこの地域でも、事前予想とあまり誤差のない売上をかせげます。
これはすべてのお店が統一された店舗作りで、取り扱っている商品もほとんど同じだから可能なことなのです。 お客さんからみても、どこのお店にいっても同じ商品やサービスを受けることができるんで、安心して利用できますよね?
このことは、書籍や音楽CD、電気製品などの画一商品の販売店にもいえることです。
しかし個人規模の雑貨店の場合は1店、1店の個性が売りものですから、当然それぞれのお店の商品構成や店舗イメージはバラバラで、より良い物件を選ぶのに統一した「マニュアル」などはは存在しません。
ここでお店を開けば「絶対大丈夫」というような場所は、誰にもわかりません。
確かに「立地」はお店の今後を左右する重要な要因ではありますがここまで解説してきたチェックポイントをあなたがキチンと理解することができているならば、あまり神経質にならないで最後の判断は、あなた自身の感覚(直感)を信じて決めちゃいましょう!
考え過ぎて、気持ちの踏ん切りがつかなくなってはいつまでたってもあなたの素敵な雑貨ワールドは完成しません。
「どんなことがあってもこの場所で成功するんだ!」という強い意志を持って、前に踏み出しましょう!
開業後の毎日の努力によって商売が順調に発展してゆけば、最終的に決断したその場所(立地)があなたのお店(雑貨ショップ)にとってはいちばんの好物件だったということになってくるんです。
この章の最後に、私が愛読しているユニクロの創業社長 柳井正氏がいちからユニクロを立ち上げて今日に到るまでの苦労を書いた著書
一勝九敗 の中に書かれている 柳井氏の店舗の立地に関する考え方を紹介しときます。
『良い立地に無理して出店しても賃料が高いと売れているときはいいのだが、売れなく
なったとたんにもたなくなる。 自分の力に見合った立地、それが良い立地という
ことなのだろう・・・ 』 〜柳井正氏 著書 一勝九敗〜
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